#1 益 春菜  物語
2008年 全日本モトクロス選手権レディスクラスチャンピオン


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2008.12.24  益 春菜/栄光への軌跡 【2】 ”チキンハート” <<00:00


決勝当日の朝。
そこにはピリピリと貼り詰めた空気だけが漂っていた。
チキンハート001
公式練習出走を控え、春菜はいつも通り早めに着替えを済ませていた。
チームスタッフの誰もが近づかなかった。
佐藤健二監督を始めスタッフは百戦錬磨、国内屈指の名門チームである。
これから、今、まさに栄光を掴もうとしているライダーに無用なプレッシャーなどかけるわけがない。
他のクラスに出走するチーム員たちが飲み干した空ペット、脱ぎ散らかされたウエア。
いつもなら、キレイ好きな春菜は片付けたかもしれないが、この時はそんなもの視界に無かった。

春菜は、一人で座り、静かに目を閉じた…。
五感に染み込んだCRFの挙動をイメージし、路面の感触と合わせていく。
「あのコーナーは…、あのジャンプの飛び出しは…」と正確にラインを目蓋に描く。

第8戦名阪ラウンドは、事前に「ほぼタイトル確定」とされていた。
レディスクラス新設以来、8年間女王の座に君臨した鈴木沙耶選手は、
ポイントで追い詰められ、この大会を含め残り3戦全勝以外にタイトル防衛の望みはなかった。
春菜にとっては、これ以上ない楽な展開である。
春菜の順位がどうであれ、沙耶選手が優勝を逃せばチャンピオン決定なのだった。
土曜の予選から、ライディングそのものにも特に問題はなかった。
マシン、コース攻略についても同様に。
なにもかも問題なくスムーズに時間が迫ってくる。
楽観的な見方をすれば、今日、沙耶選手に1位をもっていかれたとしても、まだ広島とSUGOがある。
「ぜんぜん平気じゃん!」と開き直れる気持ちのゆとりも微かながらあったかもしれないが、今はとてもそんな気になれなかった。

生まれて初めての『全日本チャンピオン』が、午後には手に入る。
「ついに今日、私のものになるんだ。日本一なんだ、カッコイイじゃん。やっとハルナ日本一なんだよ!?、えっ、ほんと?…。夢なんかじゃないよね?。ハルナ、チャンピオンだよ!もうすぐハルナが、やっとチャンピオンになれるんだ」そんな喜びというか、生涯で一瞬だけ、たった今だけしか味わうことのできない瞑想を楽しもうとした。一生懸命に楽しもうと努力した。

しかし、現実は楽しむどころか、できることなら逃げ出したい気持ちだった。

チキンハート002
シーズン中盤、猛暑のレースを連勝で制し、リザルト的には好調をキープしていたが、精神的には追い詰められていた。「藤沢くらいから、プレッシャーばかりが重くなって」と、練習どころか、食事すら満足に摂れない状態の日もあった。考えても意味のない事ばかりが春菜に重くのしかかった。

武者震いなのか、不安なのか、揺れる気持ちを押さえてコースイン。
チキンハート004
まだギャップのないコースを、春菜は自分なりに攻め込んだ。
緊張からのウデアガリもあったが、走っている最中は余計な事は考えなかった。
チキンハート005

公式練習を走り終えると、どうしたことか急に涙が止まらなくなった。
決して調子は悪くなかった。
冷静に走れたし、タイムも悪くない。

まずまずイケる感じだっただけに、タイトルが確実に近づいた。
よけいにプレッシャーが大きくなった。

「バッカじゃないの、なに泣いてんだよ」と笑ってみた。
一生懸命自分に言い聞かせてみたが、涙は止まらない。
FB001.jpg
FB002.jpg
FB003.jpg
幼少の頃からのイロイロあったこと、良い思い出も辛い思い出も、何もかもが突然にフラッシュバックし始めた。
「ものすごい速さでビデオの早送りみたいに『場面』だけが浮かんできて…なんでなの?と思ってもどんどん出てきて。もうどうにもならなくて」と、映画のワンシーンに引きずり込まれてしまったような感じだった。
FB004.jpg
FB005.jpg
FB006.jpg
ヘルメットを脱いだ春菜は、汗をぬぐうフリをしてタオルで顔を覆うのが精一杯だった。

パドックでは、いつになく多くの声援が寄せられた。
祖父を始め親戚一同が沖縄から応援に駆けつけた。
ライダー仲間からも「いよいよだね。頑張って」と声をかけられる。
誰もが「気楽にいけばいいんだよ」と。
ファンの声援に笑顔で応えながらも「気楽にって。そんなこと、わかってるって。でも…はぁ、ダメだ」と落ち着かない。

最も身近にいる母は、毎度の事ながら「水は飲んだ?」と何回も繰り返す。
「いいよ、ちゃんと飲んでるよ!いいから静かにしててよ」と春菜。
さらに「もっとリラックス、リラックス」とダメ押しされ、「ったくもう(怒)ほんとウザイんだから!集中できないじゃん」と、コントのようなやりとりが続く。
「こんな大事な時になって『リラックスしろ』なんて言われたらよけい固くなっちゃうし。ぜんぜんわかってないんだから」と言いながらも母親の気持ちも理解できないわけではない。「まあ、母さんはいつものことだから。チームの人は笑ってるし(笑)」と、スタート時刻が近づくにつれ、さすがにプレッシャーは頂点に達した。

ところが、春菜の中で小さな異変が起こった。
この日の春菜は、スタート直前、既にチャンピオンとしての『心』が産まれていた。
ウエイティングエリアで待機する頃には「1位になって決めてやるんだ!」と自然に思うようになっていたのだった。
チキンハート003
決して、気丈にプレッシャーを弾き飛ばしたわけではない。
気持ちの99%以上は不安の塊だった。
しかし、正々堂々、プレッシャーに挑んだ末「絶対に勝ってやる。1位しかないんだ」という結論を出した。
「だって、もし私が4~5位とか中途半端な順位で、もし沙耶ちゃんに何かあって沙耶ちゃんが1位じゃなくて…そんなので『チャンピオン決定』なんてカッコワルイ!。絶対イヤだ」と。

今季は、己にそう言い聞かせることができるまでに成長していたのだった。

そして「お姉ちゃん、しっかり見ててよね」と、静かにつぶやきながらスタートを待った。
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#1 益 春菜  物語 とりあえず貼っとけ、てな具合で申し訳ありませんが、今後が楽しみであり、春菜ちゃんのあれやこれや...とか、いろいろ? 勇気をもらったり元気をもらったり... もらってばっかりですね。 すいません、徐々に上がると思いますので...。  [続きを読む] SEI..\'s SPEED! 2008/12/25/Thu 00:20
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